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書評:ブルーバックスの「分子レベルで見た薬の働き」 これいいよ for 論文読むことに慣れている人は

タイトル通りですが。

 

平山令明先生の本です。

実用化されている薬はだいたいターゲットや機序にパターンがあるので、有名著名な薬に絞ってそれらの効能などを順次解説していくものです。

 

ブルーバックスっていっても幅広くて、完全に気楽な読み物として読めるものもあれば、装丁文体が教科書の体をとっていないだけで、かなり技術的な専門家を想定しているのもあります。

この本はその中間ですかね・・・

 

想定される読者に薬学部の学生が入っていることから、それぞれの薬の詳細な機序まで読み込もうとするとかなり化学薬学の知識が必要に思います。

そこまで踏み込まずに、たとえば東大の理系教養課程+αくらいの知識量を持った職業研究者(私だ)くらいにはすごくちょうどよいです。有名な薬の名前は知っていてもどう作用するかは知らない。これを(詳細部分を読み飛ばすことで)ふわっとした形で解決してくれるので、知識欲みたいなのがすごく満たされます。

たとえば、標的分子として病原体に薬を改変されないようにするために、「なんかでっかい立体構造をもった修飾をすると物理的にポケットにはいらないよね」、ぐらいの。

 

とりあえず、分子の立体構造がこんなに重要だったのか!とか、水素結合一本消えるだけで薬にならなくなるのか!とか、そういうので知的興奮が味わえます。